
【パリ安倍雅信】フランシスコ・ローマ教皇の死後、仏カトリック系新聞、ラ・クロワは教皇について「率直なスタイル、環境問題への配慮、社会の隅に追いやられた人々への姿勢」を通じて、在位12年間にカトリック教会に対する、「ある種の偏見を打破することに貢献した」と報じた。またさまざまな論争の中でも「信者の範囲をはるかに超えた人々の共感を集め」、無神論者までを信仰に引き付けたとした。
フランスでは4月20日の復活祭で、約1万7千人がカトリックの洗礼を受けた。昨年比で45%増、過去最高を記録した。
その翌日、教皇はこの世を去った。復活祭当日、医師の助言に反してバチカンのサンピエトロ広場に車椅子で姿を見せ、多くの信者らを前に、バルコニーから復活祭を祝福した。その後、24時間も経(た)たずに亡くなった。
今回洗礼を受けたが以前、カトリック教会に長年疑問を持っていた非信者の女性が、教皇の「心を掴(つか)むような素朴さ、権威主義への拒絶に心を打たれた」「同じ信仰を持つわけではないが、環境問題や移民の受け入れなど、共通点を見つけた」「おかげで、私は反宗教的な人間ではなくなった」と証言したとラ・クロワは伝えた。
教皇について、熱心なカトリック教徒より、非教徒の方が受け入れやすかったほどだ、と指摘する同紙は、「教会に対して時代遅れのイメージを抱いていた人々が、福音的メッセージの神髄を発見した」、「環境問題に配慮できると、想像もしていなかった人々をして、教会を信頼できる存在にした」などの証言も紹介した。
フランスでは、サッカー選手、俳優、映画製作者、作家を含め、教皇への追悼の言葉が、あらゆる方面から寄せられている。イスラム教、ユダヤ教など宗教間の対話にも積極的だった教皇は、キリスト教の教えの核心である赦しと寛容な姿勢を自ら示すことで、世界中の多くの人々を惹(ひ)きつけた。