
【パリ安倍雅信】世界的に知られるスペイン・バルセロナの大聖堂サグラダ・ファミリアで知られる建築家、アントニオ・ガウディがローマ・カトリックの聖人、列聖候補になる可能性が指摘されている。1926年にバルセロナで亡くなったカタルーニャ人、ガウディは教会からその「英雄的な美徳」を称賛されている。
記念碑的な大聖堂は現在も建設中だが、完成は2026年の予定。ガウディ本人の指示に従って建設が続いている。聖家族贖罪(しょくざい)教会という正式名を持つ大聖堂は、当時、近代建築の最先端だった直線を用いず、自然主義と抽象主義の混在する彫刻などで覆われた実験的建築様式を取り入れ、スペインで最も観光客を集める世界遺産となった。
死後の1936年に始まったスペイン内戦で、ガウディの設計図や弟子が作成した資料が散逸する中、ガウディの時代を超えた信仰と構想が、世界中からの寄付を集めた。世界最大規模の聖堂は完成への最終段階にある。イエスの塔が完成する2026年が建物完成とされるが、全体の完成時期は34年ごろになると見込まれる。
かつては完成まで300年はかかると予想されていた。だが、スペイン経済が予想以上に成長し、世界的注目を集めるようになったことから、拝観料収入が増えたことで進展は加速、加えてITが建設のスピードを速めた。
25年4月、教皇フランシスコは、「神の建築家」と呼ばれているガウディの英雄的貢献を認め、「尊者」の敬称を付与した。列聖に向けた一歩と言われている。ガウディは熱心なカトリック教徒で、1914年以降、宗教関連以外の依頼を断り、サグラダ・ファミリアの建設に全精力を注いだ。