
フランスの首都パリ17区で7日、欧州最大規模の廃棄物処理センターを大規模火災が襲った。火災発生時、現場には31人の従業員がいたが、人的被害はなかった、とパリ警察署長ヌニェス氏が確認した。消火に当たった従業員数名は煙を吸い、病院に緊急搬送された。火災は同日深夜にいったん鎮火したが、火災による大気汚染が心配されている。
消火活動には消防車60台、消防隊員約200人が投入され、現場には引き続き80人の消防士が配備されている。
火災は巨大な黒煙を発生させ、首都の晴れ渡った空を覆った。午後8時ごろに発生し、パリ首都圏イルドフランス地域で82の自治体の家庭ごみを処理するシクトム社(デュプレー社長)の施設を全焼させた。4階建ての同施設は床面積が延べ1万3000平方メートルに及ぶ。同社従業員からの最初の報告を受け、火災は廃棄物から始まり、急速に広がったと警察関係者が明らかにした。
翌8日朝も煙がパリ市内に立ち込め、有毒ガスの懸念が広がった。17区のブラール区長によれば「実施された分析によれば毒性はない」とのことだ。
周辺の建物への延焼はないが、完全な鎮火の確認には時間を要するという。火災現場のすぐ隣には、イタリア人建築家のレンゾ・ピアノ氏が設計し2018年に完成したガラス張りの高層ビルがあるが、延焼は食い止められた。
現場はパリを囲む環状道路に沿っており、多くの運転手や通行人が火災を撮影し、多数の映像がテレビやSNSで流された。
【パリ安倍雅信】