トップ国際欧州EU、深刻危機への対応で勧告 サバイバルキットの準備奨励

EU、深刻危機への対応で勧告 サバイバルキットの準備奨励

【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)は26日、危機発生時に各加盟国と国民が備えるための新たな戦略を発表した。洪水などの自然災害、サイバー攻撃、外国による情報操作、破壊活動、武力紛争などの深刻な事態に備え、72時間「自給自足」で生き延びるために必要なものをすべて詰めたサバイバルキットの準備を国民に奨励するよう勧告している。

勧告は、ロシアの欧州への直接攻撃を例に挙げている。X(旧ツイッター)に投稿された動画では、ベルギー人のラビブ欧州委員(危機準備・管理担当)が、特別なサバイバルバッグに何を入れるべきかを軽妙な口調で説明している。水、シリアルバーや缶詰などの食料、常備薬、眼鏡、懐中電灯、電池式ラジオ、身分証明書のコピーなどだ。

勧告は、スウェーデンのサバイバルマニュアルが参考になっている。一方で国民を不安に陥れるとの批判もある。

それに対しラビブ氏は「危険を認識することはパニックに陥ることの反対。新型コロナウイルスの感染拡大中に見られたようなパニックや非合理的な行動を避けることにつながる」と指摘、「備えあれば憂いなし」と強調した。「電気や水道、銀行システムがなくなったとしても、人々が回復力を発揮できるようにするのが政府の役割」という。

仏上院外交防衛軍事委員会のペラン委員長は「状況を予測できるスウェーデン・モデルに似た、回復力を高める取り組みが目的だ」と強調した。「人々を怖がらせることが目的ではないが、潜在的には微妙な状況になる可能性があり、そうなるまで待つ必要はない。そうなったら手遅れになるからだ」とペラン氏は述べている。

仏日刊紙リベラシオンによると、小冊子は数カ月かけて、防衛・国家安全保障事務局(SDGSN)によって「完全に独断で」作成され、コロナ危機後に開始された国家レジリエンス戦略の一環として、フランス語版で約30ページの長さだという。春に発表される予定で、戦争やテロ攻撃については触れていないと伝えられているものの、欧州の危機感は確実に高まっている。

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