【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)・欧州委員会のフォンデアライエン委員長は17日、シリア国内で最近、暴力事件が多発するにもかかわらず、EUによる25億ユーロ(約4000億円)に上る追加支援を表明した。今後2年間でシリア人に対してEUが約束した支援総額は58億ユーロ(約9280憶円)に達した。
資金は国内だけでなく、ヨルダン、レバノン、イラク、トルコなどの近隣諸国のシリア人への支援にも充てられるとした。同発表は、シリア暫定政府のシェイバニ外相が初めて出席した年次支援国会合で明らかになった。
一方、投資は「信頼でき」かつ「包括的な」移行の実施次第とし、アサド政権崩壊後のシリアの政権移行の安定性確保のため、EUはシリアの暫定政府と協力し、経済の再建と再生を目指すと表明した。
フォンデアライエン氏は、ダマスカスの事実上の政権が、社会のあらゆる階層の代表による新しいシリアへの移行を続ける限り、EUは復興に必要な投資を誘致するため、「さらに努力する用意がある」と述べた。同氏は13日の暫定憲法の調印、また資源の豊富な北東部を支配するクルド人主導のシリア民主軍(SDF)との合意を「歴史的」と評価した。
ただシリアは現在、決して安定した状況にはなく、数日前にもシリア北西部の沿岸地域で政府軍と、追放されたアサド前大統領に忠誠を誓う「非国家武装グループ」の間で激しい衝突が発生したばかりだ。