トップ国際欧州マクロン大統領 「仏の核で欧州防衛」議論  ロシアの脅威に強い懸念

マクロン大統領 「仏の核で欧州防衛」議論  ロシアの脅威に強い懸念

5日、パリのフランス大統領府でテレビ演説するマクロン大統領(AFP時事)

【パリ安倍雅信】フランスのマクロン大統領は5日、国民向けのテレビ演説でロシアの脅威に懸念を表明し、「傍観者でいることは狂気の沙汰だ」と強調した。自国が保有する核兵器による抑止力を欧州の同盟国に拡大する議論を開始することを表明した。

マクロン氏は黒いスーツで登場し、「世界秩序を乱している現在進行中の歴史的出来事について、国民が心配していることは承知している」と述べ、大統領府に戦争への懸念を示す国民からの手紙が通常の15倍多く届いていることを明らかにした。

マクロン氏は、ロシアがウクライナに「北朝鮮の兵士やイランの装備」を動員して「国境を侵犯している」と主張。ロシアは2030年までに「兵士30万人、戦車3000両、戦闘機300機を追加して再軍備を続ける」と指摘し、「ロシアがウクライナで止まると誰が信じられるだろうか」と警告した。

マクロン氏は米国がウクライナ支援を控える姿勢への批判を避けながらも、「われわれは新たな時代に入りつつある」とし、「この危険な世界に直面して、傍観者でいるのは狂気の沙汰だ」と述べた。

米国がウクライナ紛争から距離を置くと発表して以来、米国が欧州に提供する核の傘がなくなる可能性が指摘されている。マクロン氏は「メルツ次期独首相の歴史的な呼び掛けに応えて、抑止力を通じて欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を開始することを決定した」と表明した。

フランスの核抑止力を欧州に拡大することについて、バイル仏首相が支持を表明する一方、野党・右派の国民連合、マリーヌ・ルペン氏が「国家の抑止力の喪失」と強く反発し、政党間で分裂状態にある。ロシアはフランスの核抑止力の欧州拡大を強く批判し、国営RIAノーボスチ通信は「現実から乖離(かいり)している」と伝えた。

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