トップ国際欧州独総選挙 中道右派勝利 政権復帰へ 右派AfDが第2政党に躍進 

独総選挙 中道右派勝利 政権復帰へ 右派AfDが第2政党に躍進 

【ウィーン小川敏、パリ安倍雅信】ドイツで23日に実施された連邦議会選挙(630議席)は、事前予想通り中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が28・5%を獲得して第1党となり、政権復帰が確実となった。第2党は右派「ドイツのための選択肢」(AfD)で約20・8%を得て、前回総選挙の得票率を倍加させた。一方、ショルツ首相の与党「社会民主党」(SPD)は16・4%と歴史的大敗を喫し、環境政党「緑の党」も振るわなかった。

CDUのメルツ党首は同日、「ショルツ政権の3年間は失われた期間だった。国民から政権担当を任された。低迷する国民経済を回復し、欧州のリーダー国としてその指導力を発揮できる国造りをスタートさせる」と勝利宣言した。

得票率を連邦議会の議席数で見ると、CDU・CSUが208議席、AfD152議席、社民党120議席、緑の党85議席、そして左翼党64議席、その他1議席となる。議会の過半数は316議席だ。メルツ党首はAfDとの連立を拒否しており、過半数を有する安定政権を樹立するためには、連立パートナーが必要となる。

ト 氏 ㊦ 23日、ベルリン で支持者にあい さつするキリス ト教民主同盟 (CDU)のフ リードリヒ・メ ルツ党首(AFP時事)

現地のメディアによると、CDU・CSUと社民党の連立政権(328議席)が最も現実的なシナリオを見なされている。問題は、2党連立に緑の党を加えるかで、CDU・CSU内で意見が分かれている。なお、ショルツ首相は今回の総選挙の結果を受け、CDU・CSUと社民党の連立政権ができたとしても、新政権には加わらないことを明らかにしている。

CDU・CSUは選挙戦で、寛容な難民政策や積極的な温暖化対策の見直しを主張した。この数年、移民絡みのテロが連続して起きたドイツで、メルケル前首相が2015年に100万人の難民・移民を受け入れたことが選挙の争点になる中、メルツ氏は移民への開放政策を大転換し、合法的な移民をより厳しく管理し、あらゆる不法移民に対抗する政策を打ち出した。

ドイツが直面している課題は移民政策、リセッションにある国民経済の回復だ。ウクライナ戦争の影響もあってロシアからの天然ガスはストップし、エネルギーコストは急騰、物価は高騰する一方、輸出大国を誇ってきたメイド・イン・ジャーマニーのドイツ製品がコストアップで競争力を失うなど厳しい状況が続いている。ドイツ産業を支えてきた自動車産業は最大の顧客だった中国の重要が大幅に減少する一方、電気自動車分野で他の競争メーカーに後れを取り、工場閉鎖やリストラなどの対応に追われている。

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