【パリ安倍雅信】今月23日に実施されるドイツ連邦議会選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)と極左政党「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟」(BSW)の両ポピュリズム政党の台頭が確実視されている。過半数を占める政党がないとみられる中、両党がキャスチングボートを握る可能性も指摘されている。
14日時点の支持率は、中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が30%でトップ、AfDが20%で2位につけている。ショルツ現首相率いる中道左派の社民党(SPD)は16%、緑の党は14%。この後をBSWと自由民主党(FDP)が続く。
注目を集めるのは、極左政党・左翼党から昨年1月に分派したBSWだ。メディアはBSWについて、「最近の世論調査では、議席獲得に必要な5%の基準を超えて急上昇し、党員数も過去最高に達している」と指摘。東ドイツの共産党に起源を持つ左派は、極右の台頭に憤慨する若い有権者を味方につけている。
SPD、緑の党、FDPの3党から成る連立政権は、予算案を巡って妥協点を見いだすことができなかった。昨年11月にFDPのリントナー財務相がショルツ首相に罷免された後、連邦議会(下院)でショルツ氏の信任投票が否決され、12月27日に連邦議会が解散された。
議会解散に伴う総選挙は20年ぶり。政治的分裂は避けられず、連立政権樹立に数カ月かかる可能性が指摘されている。ドイツが経済危機に直面する中、ウクライナ紛争は大きな節目を迎えており、ドイツの衰退を確実視する欧州メディアは少なくない。