【パリ安倍雅信】フランス南部アビニョンの二つの地区で15日から16日の夜にかけて、カラシニコフ銃を使った新たな銃撃事件が発生した。事件はイゼール県グルノーブルのバーに手榴弾(しゅりゅうだん)が投げ込まれた事件など、フランスで発生したさまざまな事件に、違法な戦争兵器の使用という共通点がある。アビニョンの事件では4人の若者が負傷し、15歳の少年が重傷を負った。
現場の一つでは、24個の薬莢が発見された。事件に詳しい情報筋によると、殺害の意図はなかったようで、「間違いなく脅迫だった」という。ただ、現場では2台の車が目撃され、1台は放火され全焼状態だった。検察当局は麻薬密売の組織がらみの抗争と見て捜査を続けている。
仏南東部グルノーブルでは12日、同市オリンピック村地区にあるコミュニティーバーに手榴弾が投げ込まれ、12人が負傷、うち6人が重傷を負った。テロリストの関与の可能性は今のところ否定されている。
戦争に用いられるような武器が大量にフランスに流れ込んでいる問題で、武器流通阻止の戦いの最前線では、税関による押収が増加している。仏ニュース専門ラジオ、フランス・アンフォによれば、これらの兵器庫の所有者の経歴は実に多様で、「武器愛好家」だけでなく「過激派運動に携わる人々」や「組織犯罪や麻薬密売に関係する経歴」もあるという。
輸入元のほとんどはアメリカ、トルコ、あるいはかつての交戦国から来ており、「われわれはほぼ30年間、旧ユーゴスラビアや東ヨーロッパからの武器を扱ってきた」と、元諜報(ちょうほう)員で在仏の拡散に対する安全保障構想(PSI)セキュリティ・グループの総責任者、ジャン=シャルル・アントワーヌ氏は指摘する。