【パリ安倍雅信】仏国内治安総局(DGSI)のベルトン国家対テロ検察官はこのほど、イスラム過激派の攻撃の脅威が高まっているとの認識を示した。フランスでは昨年、ほぼ10年ぶりにテロによる死者が出なかったが、イスラム聖戦主義の脅威が後退しているわけではなく、海外で設立されたテロ組織が、フランス国内を攻撃するための中継拠点を探していると指摘した。
ベルトン氏によると、イスラム過激派の脅威を示すすべての基準が、欧州規模で上昇傾向にある。2021年から23年にかけて欧州連合(EU)内で発生したイスラム過激派によるテロ攻撃の半数以上はフランスで発生しており、この問題に関して開始された訴訟の数は過去2年間で70%増加。また、阻止された攻撃は22年に3件だったのに対し、24年には9件に増加した。
ベルトン氏は、テロ対策強化によって仏国内でのテロの実行は現在、困難になっている。しかし、過激派組織「イスラム国」(IS)とアルカイダは、フランス領土を標的とする計画を維持しており、組織に加わらないローンウルフ型のテロの脅威も依然、存在するという。