【パリ安倍雅信】予算審議が数カ月難航していたフランスの国民議会(下院)は5日、バイル内閣に対する不信任決議案を否決した上で、2025年予算成立にこぎ着けた。過半数を占める政党が存在しない中、予算案を巡っては、バルニエ前内閣への不信任案が可決され、退陣。首相に就任したバイル氏は3日、憲法特例条項の緊急事態に議会審議を経ずに政策を可決させる方法を選んだ。
急進左派の新人民戦線(NFP)が政府への不信任案動議を提出したが、バルニエ氏の時と違い、中道左派・社会党は動議を支持せず、第3勢力の右派・国民連合(RN)もバイル首相の予算案を黙認する姿勢を見せ、不信任案を提出したNFPを率いていたはずの急進左派、不服従のフランス(LFI)は孤立し、結果的に問責決議案は否決される見込みが固まった。
バイル氏は5日の不信任案投票前に議員らに対し、「われわれの予算は不完全だ」と認めた上で、「この国は予算なしではやっていけない。これは緊急手段だ」と訴えた。LFIを除く各政党は、予算成立を妨害し続ければ、有権者の生活に深刻なダメージを与え、次の選挙に悪影響を与えるとの懸念もあり、予算の強行採決に反対しなかった。
新たな予算には先週、超党派の議員グループが審議した上で合意した社会党への譲歩も含まれており、医療や教育への支出は維持されることとなった。ただ、バイル氏が目指した財政緊縮政策は、多くの部分で延期となった。