
【パリ安倍雅信】1月20日の米大統領就任式に、欧州首脳として唯一出席したイタリアのメローニ首相には、トランプ氏との親和性を通じた、欧州と米国の間の懸け橋となる可能性が注目されている。
イタリアのコリエーレ・デッラ・セーラ紙のジャーナリストで、同就任式ではトランプ氏に直接質問を投げ掛けたモニカ・ゲルツォーニ氏は、米トランプ、伊メローニ政権の間には、右派の「共通項、共感、ビジョンの同質性」があると分析した。仏紙ル・パリジャンも、それを紹介した。
ゲルツォーニ氏が「イタリアの関税は免除するつもりか」と尋ねた際、トランプ氏は「何が起こるか見てみよう」と応じ、関税を積み増しする可能性に言及しなかった。
トランプ政権発足以来、欧州連合(EU)の指導者からは、ネガティブな反応が目立ち、逐一トランプ氏の発言について、懸念する観点から精査している。
トランプ、メローニ両政権の親和性が指摘される中、メローニ首相がEUと米国の懸け橋となることへの期待は、欧州の複数メディアが報じている。
その背景として、規制緩和による競争力強化を早急に実行させようとするトランプ氏に対し、規制を増やし、特にデジタル分野でSNS規制を導入しようとするドイツ人のフォンデアライエン委員長には、明らかに親和性がないという現実もある。
関税戦争は米国向け、欧州の高級ブランド品が標的になる可能性が高い。ドイツ、イタリア、フランスの米国向け自動車も同様だ。
過去2年間、メローニ氏は、戦後イタリアで最も安定した政権の一つを実現した。右傾化が進む欧州で今日、最も影響力を持つ政治家として注目を集めている。