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オーバーツーリズムで危機 ルーブル美術館館長メモ流出 大規模改修求める

フランスのパリで、約200フィート上空に上昇するオリンピック・コルドロンがルーブル美術館のピラミッド越しに見える=2024年8月6日(UPI)

【パリ安倍雅信】昨年だけで年間870万人の来館者のあったパリのルーブル美術館は、収容人数の約2倍の来館者によって、美術館がダメージを受け、修復が必要だと、ローランス・デカール館長がラシダ・ダチ文化相に送ったメモの流出で注目を集めている。パリで2019年4月に大火災に見舞われたノートルダム大聖堂の修復が完成し、昨年12月初めに再開したばかりだ。

文字通り世界一の来館者を集めるルーブル美術館はパリ最大の観光資源だ。昨年は過去最多の外国人旅行者1億人を突破したフランスだが、オーバーツーリズムも頭の痛い問題だ。デカール氏のメモによれば「非常に深刻な事態も含めた美術館内のダメージは拡大中」で、一部エリアでの「漏水や大きな温度変化により、芸術作品の保存が危機的状況にある」と警告している。

推定1枚数百億円の作品を含め、所蔵作品数は30万点を超え、気候温暖化で館内の夏の温度は急上昇し、作品の保存に懸念が広がっている。来館者や職員は館内が高温になることに苦しんでおり、有名なガラス張りのピラミッド天井下の館内の夏の温度は耐えられないレベルに達している。世界の至宝を集めた同美術館はオーバーツーリズムの危機にさらされている。

改修には高いコストがかかり、技術的にも複雑な大規模改修が必要になると「憂慮すべき老朽化」をデカール館長は指摘する。訪問者が多過ぎ、過密状態にあることが建物の荒廃を招いている。冬には、特定の部屋の温度差が非常に大きくなり、作品の保存が危険にさらされる。最近、ある展示会が洪水のため数日後に閉鎖され、作品の移動を強いられた。

名画や彫刻、歴史的作品など国宝を集めたルーブル美術館の老朽化は深刻と言わざるを得ない。デカール館長は適切な財政支援を得ることを期待している。2021年にオルセー美術館の前館長、デカール氏が館長に就任し、ダビンチの「モナリザ」に専用の部屋を設けることも計画中だ。

市民が芸術に触れる機会を増やす計画を推進する館長のアイデアは、老朽化という別の課題の圧力にさらされている。財政難に苦しむマクロン仏大統領は、ルーブル美術館改修を国家的優先事項と宣言できるだろうかと疑問の声が上がっている。ノートルダム大聖堂のように世界中から寄付を募る方法も検討されている。

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