【パリ安倍雅信】スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)で、参加した欧州の企業幹部らは、トランプ米新政権が規制緩和と競争力強化を打ち出していることに他の先進諸国が後れを取らないよう呼び掛けた。欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長もダボス会議に先立ち、企業が欧州の膨大な民間資本を活用できるように、約10年前に発足した資本市場同盟(CMU)を完成させる必要があるとの認識を示した。
企業幹部らはダボス会議で規制緩和を前面に押し出すトランプ大統領の姿勢に対して、EUで長期間続く競争力強化の議論は、スピード感を持って結論を出し行動に移す緊急度が高まったと指摘した。背景にはフォンデアライエン氏をはじめとするEU官僚は法や規制作りには熱心だが、自由な企業活動促進に及び腰という現実がある。
米ハイテク企業に規制を課し、税逃れに網を掛け、巨額の罰金を科すことばかりに軸足があり、トランプ氏が信頼する世界一の資産を持つイーロン・マスク氏は、最近、EUの態度を強く批判した。フォンデアライエン氏は「EUのすべての人々に高いレベルの繁栄を継続的に提供できるようにするため、われわれは競争力を2014年以降の経済政策の中心に据えている」と強調するが、経済界は不十分とみている。
EUは近年、特にデジタル分野で規制の数を大幅に増やしており、新しい法律や指令が増加し、企業に対する規制上の負担が懸念されている。多くの利害関係者は、EUによる規制上の負担が増大しているといわれており、新しい法律の複雑さと量について懸念の声が上がっている。