
【パリ安倍雅信】フランスは昨年、外国人観光客数1億人超えを記録した。新型コロナ禍で低迷した後、昨年はパリ五輪で一気に回復した。ただ、外国人観光客がもたらす収益ではスペインを下回った。
豊かな文化遺産、多様な景観と美食に恵まれたフランスは、外国人旅行者を魅了し続けている。昨年の観光収益は710億ユーロで、前年比で増加した。しかし、スペインは観光客数が9400万人だったにもかかわらず、収益は1260億ユーロに上った。
両国を訪れる旅行者には滞在スタイルに違いがある。それは平均滞在期間がスペインの方が長いことだ。スペインでは夏の長期休暇用ビーチリゾートに最新インフラ施設が整備され、楽しめるメニューがフランスより豊富と専門家は指摘している。
フランスのナタリー・ドゥラトル観光相は最近、スペインだけでなくイタリアやギリシャなど他の南欧諸国とも競争が激化していると強調した。フランスがスペイン以上の収益を上げるには、宿泊施設、特に高級ホテルへの投資が不可欠だ。老朽化したホテルやレストランが障害となっているとも指摘されている。
一方、アジアからの旅行者は伸び悩む。コロナ禍前の水準を依然、大幅に下回っており、特に中国人観光客は60%減、日本人観光客は30%減だ。アジア人観光客にはサービス面の不満もあるようだ。
フランスは現在、持続可能な観光に焦点を当てて差別化を図ろうとしている。2030年までに世界をリードする観光地になることを目標に、環境に優しい交通の開発やグリーンインフラの改善などの取り組みが含まれる。有機ワイン、ビーガン料理の提供、自然を満喫できるスポーツ観光充実にも取り組んでいる。