【パリ安倍雅信】北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は13日、NATO全体としての軍事能力の目標達成には、加盟各国が国内総生産(GDP)の国防費2%目標を、最大3・7%に引き上げる必要があるとの考えを示した。ただ同時に、技術革新や共同調達などを通じた調整の可能性にも言及した。
ルッテ氏は欧州議会で、欧州諸国が平均して国民所得の4分の1を年金、医療、社会保障制度に費やしているとし、国防費の引き上げ幅は、その資金のほんの一部しかない、と説明しながら理解を求めた。
現在、国防費のGDP2%目標を達成しているのは加盟32カ国中、24カ国。
トランプ次期米大統領は先週、同盟国に対し、GDP比5%の国防費への大幅引き上げを求めた。これは、現状3・38%の米国をはるかに上回る。
ルッテ氏は、NATOが武器や装備の共同購入、また技術革新の効果的推進を含め、最終的なNATO目標をGDPの3・6~3・7%程度と示した。また「安全保障上の必要性による、欧州と米国の結束」を強調し、欧州が国防面で自立できると考えるのは「幻想」だとした。