【パリ安倍雅信】予算審議で混迷を深めるフランス議会は、国民議会第3勢力の右派・国民連合(RN)率いるマリーヌ・ルペン氏が27日、保守派のバルニエ首相に対して、不信任案動議をちらつかせ、政府予算案の修正を来月2日までに示すよう迫った。だが、早ければ来週にも政権が倒れる可能性があり、そうなればフランスの財政とユーロ圏の安定に壊滅的な影響を及ぼす可能性がある。
現在、議会で審議されている予算案は、社会保障予算の概要を示す法案と政府予算の概要を示す法案から構成されている。両法案とも年末までに採択する必要があるため、ルペン氏は来月2日にバルニエ氏と会談した後、不信任動議を提出する可能性がある。左派政党連合(NFP)はバルニエ内閣に敵意を抱いており、不信任決議案を支持すれば政権は崩壊する。
今年6月に強行した下院の解散総選挙で、NFPが最多議席を獲得したものの過半数には至らず、マクロン大統領の中道派は第2政党に転落した。
フランスの法律では大統領の議会解散権は12カ月に1度しか行使できない。そのため、総選挙をするとしても早くても来年7月。ただ、マクロン大統領が任期前に辞任すれば、解散総選挙は可能だ。ルペン氏は政権政党を目指して着実に勢力を伸ばしてきた。党内には政治を混乱に陥れることを嫌う勢力と、政権転覆を支持する勢力があるといわれている。