【パリ安倍雅信】10月に入り、南仏マルセイユで15歳の少年が惨殺される事件があり、これへの復讐の途上、14歳の少年がハイヤー運転手を銃殺する事件も発生した。報復を指南した男は刑務所に収監中で、麻薬王らがSNSを使って闇バイトで少年らを雇って犯罪に巻き込む事態が深刻化している。
現地のニコラ・ベソーヌ検事は、15歳の少年殺害は二つのギャング間抗争によると述べた。こうした抗争は激化しており、2023年には49人が死亡、118人が負傷した。
今回の事件では、服役中でギャング「DZマフイア」のメンバー(23)が、抗争相手のギャング「ブラックス」の家のドアに脅迫の目的で火をつけるため、SNSを通じて15歳の少年2人を2000ユーロ(約33万円)で雇った。だが、計画が発覚して少年のうち1人はブラックスに捕まり、50回にもわたって刺され、焼殺された。
収監中のDZマアィアのメンバーは、2日後にその復讐のため、SNSでさらに14歳の少年を雇い、5万ユーロ(約820万円)を提示した。少年は、犯行に向かう際に利用したハイヤーの運転手ネシム・ラムダンさん(36歳、既婚で子供3人の父親)に、犯行後までの待機を要望したが、これを拒否したため、車内で運転手を射殺した。
ところがこの時点で、少年を雇った収監中の男は警察に通報し、少年は身柄を拘束された。少年は運転手への発砲を認めたものの、「偶然」の発射を主張している。
今回の一連の事件でギャングは実行犯を、SNSで闇バイトとして調達した。スマホやゲームに金が必要な未成年者が、闇バイトの誘いに応じている構図だ。