【パリ安倍雅信】フランスのアタル内閣の総辞職に伴う次期首相の任命について、左派・新人民戦線(NFP)はイダルゴ・パリ市長の顧問、リュシー・カステ氏(37)を推薦したが、マクロン大統領は23日、この案を退けた。また首相指名および新政権樹立の時期は、五輪閉幕後の8月中旬以降とし、それまではアタル暫定政権とともにパリ五輪に集中する考えを表明した。仏国営テレビ「フランス2」のインタビューで明らかにした。

総選挙の結果、左派NFPは最も多くの議席を獲得した一方、単独過半数には遠く及ばず、2位の大統領派の中道・アンサンブル(ENS)、3位の右派・国民連合(RN)と拮抗している。
フランス大統領は伝統的に、国会で過半数の議員を占める政党から首相を指名する。しかし、今回の下院選ではどの政党も連合も、過半数を獲得しておらず、左派とマクロン氏の中道が国の統治を巡って争っており、政界は混乱に陥っている。
フランス憲法は選挙後の首相指名の期限を定めていない。マクロン氏は「改革を実行し、予算を採択し、前進させる政府の樹立が必要」とし、党派間の対立に釘を刺した。
左派も右派もマクロン氏の主張に強く反発しているが、マクロン氏はパリ五輪で国民の気持ちが高揚し、新政権樹立への前向きな空気が生まれることに期待しているようだ。マクロン氏は今後、どのような連立政権を考えているのかは明らかにしなかった。一方で、同国の移民と安全保障という核心的な政策を巡り、保守政党との連立を考えている可能性も指摘されている。