トップ国際欧州EU議長国ハンガリー独自外交、加盟26カ国がボイコット

EU議長国ハンガリー独自外交、加盟26カ国がボイコット

【パリ安倍雅信】今年下半期の欧州連合(EU)議長国ハンガリーのオルバン首相が、EU加盟26カ国との調整なしに、独自外交を展開しているとして、EU加盟国外交官が、8月下旬に予定されるブダペストでのEU外務サミットをボイコットする見通しとなった。議長国が排除される事態はEU牽引(けんいん)役のフランスの国内政治が混乱する中、EUの求心力低下につながるとの懸念の声が上がっている。

オルバン首相は、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、ロシア産化石燃料輸入を停止する対ロシア経済制裁に抵抗しており、EUの対ロシア強硬姿勢に強く反対している。オルバン氏はウクライナへのEUの支援にも反対する一方、この2週間でキーウ(キエフ)、モスクワ、アゼルバイジャン、北京、ワシントン、さらには米フロリダ州のマール・ア・ラーゴまで、平和外交の名で訪問した。

オルバン氏はEUと北大西洋条約機構(NATO)の結束を破り、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席、さらにはトランプ前米大統領に会った。この行動は直ちにEU首脳部とアメリカ政府によって、厳しく非難された。一方、オルバン氏は「ロシアとウクライナの戦争は、放っておいても平和は自然には実現しない。誰かが平和をつくらなくてはならない」と自身のフェイスブックに連日動画投稿を繰り返した。

EUの欧州委員会の外務・安全保障担当トップ、ボレル氏は、8月下旬にEU外交協議会を開催すると表明しており、加盟各国の外交担当者はブダペストの外務サミットには参加できなくなる。結果的に世界に対してハンガリーがEUの外交を代表していないことを示すことになる。

EUとの長年の緊張関係にあるオルバン政権下で、EUからすれば、ハンガリーは政府の意思決定プロセス等で民主主義の規範と法の支配から後退しており、無関係な分野での譲歩を得るためにEUの法律の成立や資金援助を阻止することでEUの円滑な機能を妨害していると批判されている。一方、国内政治が総選挙で混乱するフランスはEUの求心力を弱体化させており、オルバン氏の行動制御には不利な状況だ。

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