【パリ安倍雅信】フランスのマクロン大統領は、下院選挙の結果を受けて辞任を表明していたアタル首相に続投を要請した。単独過半数を獲得した政党はなく、188議席で第1党となった新人民戦線(NFP)も過半数まで101議席足らず、大統領派の中道、右派・国民連合(RN)とも拮抗しており、議会が首相を任命するまで時間がかかる見通しだ。
首相にはNFP内の社会党や、中道右派・共和党のリーダーが意欲を見せているが、任命には、大統領が指名した首相を議会が承認する必要がある。伝統的な共和党勢力との駆け引きや、中道のマクロン派やNFP内の中道左派が排除したい極左勢力を脇へと追いやる動きもあり、議会が納得する人物の選定は困難を極めている。
フランスが過去に経験したことのない対立軸が議会の宙づり状態を生む中、マクロン氏は、まずは議員と政党の動きを静観する構えともみられている。7月26日からパリ五輪が始まる。フランスはすでに夏の大型バカンスに入っており、新政府樹立は9月になるとの見方も出ている。仏憲法では大統領の首相指名期限は設けられていない。