【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)首脳らは17日、ベルギーの首都ブリュッセルで非公式首脳会議を開き、今年10月末に任期満了となる欧州委員長らの人事について協議した。委員長人事では、予想されていたフォンデアライエン現委員長の再任合意には至らなかった。退任が決まっている欧州理事会のミシェル議長(大統領に相当)が明らかにした。

仏独両首脳を中心に、委員長の再任、ポルトガルのアントニオ・コスタ氏の理事会議長選出が内定していたが、EU議会選で政治勢力のバランスが変わったことで、合意は先延ばしされた。
6~9日に行われた欧州議会選で議席を伸ばした中道右派・欧州人民党(EPP)は欧州の最高幹部職のさらなるポストを要求している。EPP、社会党、自由党の現連立政権の間でEUの幹部主要4ポスト(欧州委員会委員長、欧州理事会議長、欧州議会議長、外交安全保障上級代表=外相)を分担することへの期待も高まっている。
EU議会選で勝利した数少ない首脳の一人、イタリアのメローニ首相は、これら4ポストの協議から締め出されていると不快感を露(あら)わにしたとEU関係者は伝えた。メローニ氏はEU議会選の結果をベースにEU最高幹部ポストの人事を議論すべきだが、そうなっていないと不満を述べたという。関係者は、6月27、28日の次回首脳会合に協議が持ち越されるとの見方を示した。