【パリ安倍雅信】フランスのノルマンディー上陸作戦(Dデー)80周年記念式典にロシアを招待する仏大統領府の決定に、米英など同盟国が懸念を表明した。国内からも不快感を示す声が上がっている。記念式典は6月6日に各国首脳を招待してノルマンディーの海岸で開催される。
米ホワイトハウス当局者は、招待を快く思っていないとしながらも、フランス政府の方針に従うと仏メディアは伝えている。英政府関係者は、Dデー招待のみならず、マクロン氏が今月、中国の習近平国家主席をパリに招き、同時期にプーチン大統領の就任式に代表を送ったことにも憂慮を表明した。
プーチン氏は、2014年にロシアがウクライナ領クリミアを併合してから数カ月後に行われたDデー60周年記念式典と、70周年記念式典にも出席。今回の80周年記念式典には、バイデン米大統領、英国のチャールズ国王、ドイツのショルツ首相も出席する予定だ。ナチスドイツと戦った国々にとってDデーは大きな意味を持ち、旧ソ連も第2次世界大戦で2700万人が亡くなっている。
マクロン氏はロシアがウクライナに侵攻した当初は、仲介役に意欲を見せたが、今は対露強硬発言が目立つ。ここ数カ月、ウクライナ紛争終結は「ロシアに勝つしかない」と述べ、派兵も辞さない発言を繰り返し、自国が保有する核兵器についても言及している。英国の閣僚は、こうした言動は「懸念すべきことだ」と述べている。
フランス国内からは、ロシアがウクライナのハリコフ北部への攻撃を強めていることに懸念の声が上がっている。マクロン氏率いるルネッサンス党内からも「ロシア招待は同盟国に理解されない」と批判の声が上がっている。