
【パリ安倍雅信】フランスで来夏7月26日から8月11日まで開催予定のパリ五輪と、8月28日から9月8日まで開催のパラリンピックにパリ住民はさまざまな懸念を抱いている。五輪期間中の宿泊料金が通常の3倍以上に高騰することもあるが、第1の懸念はテロが起きる可能性が拭い切れないことだ。
今年10月13日、仏北部アラスの高校前でチェチェン出身の男が、「アッラー・アクバル」(神は偉大なり)と叫んで高校教師を刃物で殺害し、別の2名も負傷させるテロ事件が発生した。
600万人を超えるアラブ移民を抱えるフランスでは、イスラエルがパレスチナ自治区ガザを攻撃し始めた10月初旬以降、反ユダヤ主義の攻撃が2000件近くに及んでいる。12月20日にはパリ西郊外のベルサイユ宮殿に対して爆破予告もあった。

エッフェル塔などの人が多く集まる観光スポットへの虚偽の爆破予告も後を絶たず、五輪開会式が行われるセーヌ川周辺はテロ警戒地域になっている。
第2の懸念は宿泊施設やレストランの価格高騰だ。今月24日付の仏日刊紙ル・パリジャンは、開会式1週間前からパリを脱出する計画を立てている市民が多いという記事を掲載した。理由は押し寄せる外国人観光客や飲食店の価格高騰、各所での検問、セーヌ川周辺の閉鎖など、日常生活が極端に制限されるからだ。
第3の懸念は、五輪で混乱している時期を狙ったデモが決行される可能性が捨て切れないことだ。外国人客の移動に加え、デモ隊が多数繰り出すことで地下鉄の運行が滞ることも考えられる。
第4は、世界中から集まる外国人旅行者を狙って、旧東欧からの非定住民ロマだけでなく、北アフリカなどからアラブ系犯罪組織がスリや窃盗集団を送り込む可能性があることだ。
第5は、若者を中心に仏各地で散発的に起きる暴動だ。特に警察権力に対する暴動では警察署や学校、市役所、図書館が放火されており、騒乱に発展する場合もある。

フランス内務省は、パリ五輪の警備に約3万5000人の警察や軍隊などを配備し、民間警備員2000人も準備中としている。調査会社オドクサが10月に行った世論調査では、「五輪・パラリンピックでの治安を心配している」と回答したフランス人は62%だった。「開催は良いこと」との回答は65%で、2年前の76%から減少している。





