【パリ安倍雅信】イタリアのルネサンス期の巨匠、サンドロ・ボッティチェリ(1445~1510年)の絵画「聖母子像」が11月下旬、ナポリ近郊の町、グラニャーノの住宅で発見された。この作品は50年以上、行方が分からなくなっていた。競売にかければ、約1億ユーロ(約158億円)以上の価格が付くと予想されている。
「ヴィーナスの誕生」(1484~85年)の作品で知られるボッティチェリは、数多くの聖マリア像の作者でもある。再発見されたのは「マドンナ・デッレ・グラツィエ」、1470年、ルネサンス期の教皇シクストゥス4世の依頼で制作され、教皇が所有していたと言われている。
その後、教皇がナポリのサンタ・マリア・デッラ・カリタ教会に寄贈したとされる。20世紀に個人収集家の手に渡り、1931年にイタリア政府は、この絵画を機密扱いにした。82年の地震で被害を受けた教会から地元のソンマ家に渡り、保管されたが、その後、作品は文化省の所在不明作品目録に掲載されていた。当局が作品の所在確認を最後に行ったのは50年以上前だった。