【パリ安倍雅信】フランス人のメディアへの信頼度は低下しているが、ニュースに対する関心は高まっている。日刊紙ラクロワが22日に公表した世論調査から明らかになった。カトリック系の同紙は35年間にわたり調査を実施している。
それによると回答者の75%が毎日のニュースに高い関心を示しており、昨年1月の62%から上昇した。ラクロワ紙はコロナ禍明けで世界の動きが活発化したことに加え、ウクライナ危機、イスラエルとハマスの衝突でフランス人が人質になっていることで時事問題への関心が高まったとしている。
ただ、世代別では18~24歳の若者層で関心度は61%にとどまった一方、50~64歳の世代では81%と高かった。一方で大量に流される情報に圧倒され、51%が疲れを感じ、38%が繰り返し報じられる終わりの見えない戦争などの残虐な状況の報道に不安や無力感を持つと答えた。これは若者と女性の間で顕著という。
ネットで少なくとも1日に1回は情報を得ていると答えたのは62%で、特に時事報道に関心の薄い若い世代では、大半がSNSを通じて情報を得ているとの結果が出た。さらにデジタル形式で報道を見ているのは35%、紙媒体は27%で、どちらも前回より低下した。ただ、58%が依然、全国日刊紙に対して信頼を示した。
ジャーナリストは金銭や権力の圧力を受け、独立性や公平性に欠けると考えていると回答したのは59%で、偏向報道への懸念が半数を超えた。ただ、責任を持って報道に取り組む情報専門家が増えていることを歓迎する傾向も強まっている。