【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)のミシェル大統領は19日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、EUがロシア産ダイヤモンドの取引を規制する方針を表明した。英国も同日、英首相官邸が、ロシアに対する新たな制裁として同国産ダイヤモンドの輸入を禁止するとの声明を発表した。EUはロシア産ダイヤモンド輸入でロシアに莫大な利益をもたらしているとの認識を示した。
ミッシェル氏は「ロシアのダイヤモンドは永遠ではない」とし、ロシアによる重要な輸出品を断ち切る努力は今後も維持すると述べた。EU加盟国ではベルギーのアントワープを中心にダイヤモンドの加工と商品化、商取引が行われており、ロシア系ユダヤ人も関係している。
ダイヤモンド産業の世界市場では重要度が増すインドへの配慮も欠かせないが、ロシア産ダイヤモンドの輸出額は2021年、40億米㌦相当で、非公式ビジネスのシャドーエコノミーを考慮すると、化石燃料に次ぐロシアの重要な収入源の一つ。その資金が戦争兵器に投じられることへの懸念が広がっている。
インドと歴史的関係の深い英国は、その意味でも英断を下したわけだが、今年3月、バイデン米大統領もロシア産ダイヤモンドの輸出規制で、産業用でないダイヤモンドの輸入を禁じる大統領令に署名している。