【パリ安倍雅信】コロナ禍明けで外国人観光客が戻りつつあるフランスのパリで、未収集のごみの山が通りを埋め尽くしている。政府の年金改革に反対する動員の一環として、ごみ収集業者がストライキを行っているためで、エッフェル塔、凱旋門、ノートルダム寺院などを訪れる観光客を驚かせている。
ドイツからパリに新婚旅行で訪れたカップルは「ロマンチックなパリを味わいたくて来たのに街と建物の魅力が台無し。がっかりした」と語った。どこにカメラを向けてもごみが写り込んでしまうだけでなく、悪臭が鼻を突く。そのため、レストランの野外席での飲食が困難になっている。
パリのシャンゼリゼ通りの有名レストランは、民間業者に依頼して毎朝、収集に来てもらっている。店のオーナーは「レストランから出る生ごみの臭いは強烈で、客が寄り付かなくなる」と苦渋の表情を浮かべた。ただ、収集車が来るのを見て、近所から自分の店のごみを持ってくる者もいる。残飯を冷凍室に入れている店もある。
パリ市役所によると、今月12日時点で5400㌧のごみが収集されずに路上に積み上げられているとしている。ただ、外国人観光客の中には、ストを支持するという人もいる。英国人観光客の1人は「英国でもストは多い。臭いは嫌だし、町の景観も台無しだが、私はストを支持する。年金と給料は重要だ」と理解を示した。
パリ議会観光局は、公共交通機関やごみ収集などの公共サービスのストにも関わらず、観光客数は減っていないと述べている。
3月15日、動員は8日目に入った。ストは全国に展開しており、西部ブルターニュ地方ではレンヌをはじめ、三つの大きな都市の路上がごみで埋まっている。