【パリ安倍雅信】フランス国民議会(下院)は、政府が提出した退職年齢引き上げを含む年金改革法案について20日間の討論の後、17日深夜採決することなく審議を終了、法案は上院に送られた。ある意味で想定内といえる一方、マクロン政権の求心力は確実に弱まっていると言えそうだ。
政府の年金改革の骨子はまず、現在62歳の定年退職年齢を2023年9月1日から30年までに3カ月ずつ段階的に引き上げ、64歳にすることだ。野党が激しく抵抗し、5回目の抗議行動が全国で展開された。紆余(うよ)曲折に満ちた激しい2週間の審議は採決に至らず、法案は政府の非常事態に適用される立法手続きの憲法第47・1条に基づき、投票なしに下院を通過した。
2月2日には審議の延長を促す何千もの修正案が野党から提出された。最終的に修正案は2万件を超えたが、20年の改革審議の時は4万件を超える修正案が提出された経緯もある。野党は特に法定退職年齢を64歳とする法案第7条の完全な撤廃を要求している。