【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)27カ国のエネルギー相は19日、欧州委員会による「市場調整メカニズム」と呼ばれるガス価格の上限に関する提案で合意した。TTF(ヨーロッパのベンチマーク指数)で観察された価格が3日間でメガワット時当たり180ユーロに達すると適用される。来年2月以降に有効になる予定だ。
市場の混乱を恐れるドイツを含む幾つかの加盟国の要請により、委員会は特定の状況でガス価格の上限を一時停止する可能性もあるとした。特に理事会は「ガスの需要が1カ月で15%、または2カ月で10%増加すると、液化天然ガス(LNG)の輸入は大幅に減少する」と指摘した。
欧州委員会は11月、メガワット時当たり275ユーロの上限を提案したが、幾つかの加盟国が高過ぎて効果がないと判断し、180ユーロに落ち着いた。一貫して消極的だったドイツは、供給のリスクを指摘し、上限が低過ぎると、供給国が他の市場、特にアジア市場に移動する可能性を懸念した。
一方、ロシア政府は「価格形成のための市場プロセスの違反」と非難し、ペスコフ報道官は、「価格上限へのいかなる言及も容認できない」と反発した。