
【パリ安倍雅信】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は30日、フランスパン「バゲット」を無形文化遺産に登録したことを明らかにした。登録内容は「バゲット作りの伝統とそれをめぐる生活習慣」で、米国を公式訪問中のマクロン仏大統領はバゲットを握って演説し、「250㌘の魔術と完璧さ」と登録を喜んだ。
ユネスコのアズレ事務局長は、「フランス人の生活様式をたたえるもの」であり、「バゲットは毎日の儀式であり、食事の構成要素であり、分かち合いと陽気さと同義だ」と述べるとともに、「これらのスキルと社会的習慣が将来も存在し続けることが重要だ」と語った。
フランスでは1日約1600万個のバゲットが消費されていると言われ、早朝から開店しているパン屋が伝統的食文化を支えてきた。ところが、毎年400軒のパン屋が閉店している厳しい現実もある。食生活の変化や、パン工場での大量生産が原因とされる。
家族経営の自家製パンを焼く伝統的パン屋は、政府により特別な認定を受けているが、苦戦状態だ。フランス全土のパン屋の総数は5万5000軒から3万5000軒にまで減少している。
バゲットという名が正式に命名されたのは、1920年とされ、20世紀半ばまでに全国に広まったとされる。ただ、バゲットが世界に広まり、多くの国で定着しており、この機会にフランス人がバゲットの消費を増やすことを仏全国パン・菓子連合会(CNBPF)は期待している。





