
【パリ安倍雅信】ロシア国営ガス大手ガスプロムは8月30日、仏エネルギー大手エンジーに対し、天然ガスの供給を9月1日から停止すると通告した。ロシア側はエンジー側の料金未払いが原因としている。ロシアによるウクライナ侵攻以前、ロシア産天然ガスはエンジーのガス輸入の17%程度を占めていたが、現在は4%程度に低下している。
一方、フランスのボルヌ首相は8月29日、ロシアのウクライナ侵攻による今年の冬のガス不足に備え、国内企業に対してエネルギー消費の節約を強く求めた。同首相は企業経営者に対し、今秋のエネルギー供給の先細りとエネルギー価格の記録的高騰を受け、特にエネルギー消費量の多い企業向けの省エネ計画を打ち出す考えを示した。
ボルヌ氏は「必要不可欠でないエネルギー消費を直ちにやめることが必要」とし、そうでなければ「容赦ない供給停止が突然ある場合、経済・社会面で深刻な影響が予想される」との認識を示した。このため、政府の停電回避の省エネ計画に企業が協力するよう呼び掛け、10月初めに具体的シナリオを明らかにするとした。最悪の場合、ガスを配給制にする選択肢も排除しないとしている。
また、マクロン仏大統領は8月下旬、旧植民地の北アフリカ・アルジェリアを訪問し、冷え込んでいる両国関係を修復することで、世界15位の天然ガス埋蔵量を持つ同国からの調達を急いでいる。





