
【パリ安倍雅信】フランスの第2次マクロン政権の新閣僚が20日、エリザベット・ボルヌ新首相の提案を基に大統領が任命したリストが発表された。政府のナンバー2としてルメール経済・財務相が、内相にはダルマナン氏が留任した。首相を除く全27人の閣僚のうち5人の残留閣僚が別の省を担当し、平均年齢は48歳と史上最も若く、男女の割合は女性のボルヌ首相を含め男女同数となった。
目玉人事の一人は、駐英フランス大使のカトリーヌ・コロナ氏(66)が外相に任命されたことだ。外交官出身の同女史は、イタリア大使の経歴を持ち、シラク政権(1995~2004年)まで大統領報道官を務め、知名度を上げた。ブレグジット時の仏英関係の調整で外交手腕を発揮した。女性外相は2010年に就任したアリオマリー氏以来、史上2人目。
マクロン新政権は気候変動対策を含む環境政策を大きな柱に据えており、公約通り二つの省が設置され、環境相にモンシェラン氏、エネルギー転換相にパニエ=リュナシェ氏の2人の女性が任命された。注目人事の一人は、マクロン氏が力を入れてきた教育政策で厚い信頼を得ていた国民教育相で右派のブランケール氏から植民地主義と人種関係を専門とする著名学者のヌディアイ氏(56)が任命されたことだ。
セネガル人の父、フランス人の母を持つヌディアイ氏は、国立移民史博物館の館長を務め、パリ政治学院の教授で多様性を重視する左派に属するとみられている。フランス黒人団体評議会の設立メンバーで、移民同化教育に力を入れるマクロン政権では重要な役割を担う。
6月に実施予定の国民議会(下院)選挙を念頭に、マクロン氏は4月の大統領選で右派が支持率を伸ばしたことから、右派に重要閣僚を割り振りながらも、下院選で過半数の議席獲得を狙う左派に考慮し、女性や中道左派勢力から閣僚を積極的に採用したとみられる。