
【パリ安倍雅信】フランス大統領選の決選投票は24日に行われる。現職中道のエマニュエル・マクロン大統領(44)と右派政党・国民連合のマリーヌ・ルペン候補(53)の一騎打ちで5年前の2017年と顔触れは同じだ。仏メディアは前回より厳しい戦いと指摘している。保革大政党が第1回投票で大敗する中、3位につけた急進左派、不服従のフランスのメランション候補の投票者の動向が注目される。
世論調査会社イプソスの最新の調査によると、再選を目指すマクロン氏は57・5%、ルペン氏は42・5%でマクロン氏が優勢だ。注目された4月20日の両者によるテレビ討論翌日の世論調査でも形勢は変わらなかった。ただ、今回は左派総崩れの中、メランション支持者の有権者の一部がテレビ討論会で庶民寄りの姿勢を見せたルペン氏に流れる可能性も指摘されている。

テレビ討論会はルペン氏よりマクロン氏が感情をあらわにしたことで、マクロン氏に幻滅する有権者も出てくることも予想される。両候補ともに左派票の取り込みに必死だが、左派支持者の中には反マクロン政権の黄色いベスト運動を闘ってきた有権者もいて、彼らがルペン氏当選阻止のためにマクロン氏に投票するかは疑問視され、棄権率が高まる可能性も指摘されている。
4月10日の第1回投票で有権者の4人に1人は投票所に行かず、前回より棄権率26・31%より高かった。特に最年少の18~24歳と35~34歳の間で棄権率は40%を超えた。1974年の大統領選挙以来、歴史的に第2回投票は第1投票より棄権は少ないが、前回2017年、同じ顔触れの決選投票でマクロン氏は支持できないがルペン氏当選阻止で投票したとする有権者は多かった。
ところが今回は「支持する候補者がいないので、投票に行かない」という若い有権者は多く、棄権率が高まることが懸念されている。1週間前の世論調査では回答者の37・65%が白票を投じると答え、28・96%が棄権するだろうと回答した。いずれにしてもマクロン氏優勢には不確実な要素が多く、本日の投票の行方が注目される。