【イスタンブール時事】ロシア軍は13日、ウクライナ東部各地で制圧に向けた軍事作戦を続行した。激戦地の南東部マリウポリでは、これまでに推計で2万1000人が死亡したとされる。東部各地で民間人の退避が計画されているが、「ロシア側の妨害」(ウクライナ当局)により、避難が進まない状況という。
ロイター通信によると、マリウポリのボイチェンコ市長は12日、ロシア軍が2月24日にウクライナ侵攻を開始して以降、住民2万1000人が死亡したとみられると述べた。市街戦の激化により、死者数の正確な把握は困難だと訴えている。
ウクライナのベレシチューク副首相は13日、民間人退避のための「人道回廊」が「危険にさらされている」と述べ、東部各地でこの日計画された退避の実施を見送る考えを示した。マリウポリでは10万人以上が退避できずに取り残されている。
ロシアとウクライナの停戦交渉が暗礁に乗り上げる中、プーチン大統領は12日、「目的完遂まで軍事作戦を継続する」と強調。ロシア国防省は13日、「マリウポリでこれまでにウクライナ兵1026人が投降した」と主張した。
ロシア軍はマリウポリへの攻撃で「化学物質の入った催涙ガス」(ブリンケン米国務長官)などを使用した疑いが指摘されている。実態の検証は困難だが、ウクライナのゼレンスキー大統領は13日、エストニア議会でのオンライン演説で「ロシアによる化学兵器や核兵器の脅威を真剣に受け止めなければならない」と訴えた。一方で、既に「(非人道兵器とされる)白リン弾などが使われている」と非難した。
ロシア軍は当初計画した首都キーウ(キエフ)の制圧に失敗し、キーウ郊外に多数の遺体を残したまま撤収。制圧目標を東部に限定し、部隊の再配置を進めている。シリア軍事介入を指揮したアレクサンドル・ドボルニコフ上級大将が新たに総司令官に指名され、混乱が指摘される指揮命令系統の整備も図っている。