トップ国際欧州ロシア無差別攻撃歯止めなく ウクライナ首都周辺、遺体1222人

ロシア無差別攻撃歯止めなく ウクライナ首都周辺、遺体1222人

10日、キーウ(キエフ近郊)イルピンで、壊れた橋を渡るウクライナの男性(EPA時事))

【イスタンブール時事】ウクライナに侵攻しているロシア軍は11日、東部や南部で支配地域を拡大するため、攻撃を続けた。都市部への無差別砲撃で民間人の犠牲者に歯止めがかからず、さらなる戦闘激化への懸念も高まっている。ウクライナのベネディクトワ検事総長は英メディアに対し、北部キーウ(キエフ)州で1222人の遺体が見つかったと説明した。

ロシア軍はウクライナ北部の短期制圧に失敗し、将兵死傷など「重大な損失」(ペスコフ大統領報道官)を被った。4月初旬までの撤退に伴い、占領地での民間人の犠牲が日を追うごとにつまびらかになっている。

ロシア国防省は11日、中部ドニプロ郊外に対する10日の巡航ミサイル攻撃で「欧州の国から送られた地対空ミサイルシステムS300を破壊した」と主張した。S300をめぐっては、これまでにスロバキアがウクライナに提供したことが明らかになっているが、ロイター通信によると、スロバキア政府報道官は「われわれのS300は破壊されていない」と述べた。

ウクライナ軍参謀本部によると、北部から撤退したロシア軍の東部軍管区(司令部ハバロフスク)の部隊が立て直しを図り、4月後半から投入される見通しという。

10日の米CNNテレビによると、東部ハリコフ州で約12キロにわたるロシア軍の車列が衛星画像で確認された。地元当局者によれば、南部ミコライウ州では11日、大きな爆発があり、負傷者が出た。また、東部ドネツク州クラマトルスクの鉄道駅を狙った8日の弾道ミサイル攻撃の死者は57人に達した。

ウクライナは東部での「大規模な衝突」(大統領府高官)に警戒を緩めていない。プーチン政権は国威発揚のため重視する5月9日の戦勝記念日までに、一定の「成果」を必要としているもようだ。ウクライナに隣接した南部軍管区(司令部ロストフナドヌー)トップで、シリア軍事介入を指揮したアレクサンドル・ドボルニコフ上級大将が、ウクライナ侵攻の総司令官に任命されたと伝えられた。

上級大将は、ショイグ国防相らと並ぶ階級。ただ、シリア内戦では弱体化したアサド政権の形勢挽回を主目標に、市民の犠牲を顧みなかった。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は10日、CNNなどに「市民に残虐行為を行った過去がある」と述べ、ウクライナで再現される恐れがあると警告した。

英国防省の10日付の戦況報告で、ロシア軍は兵力を増強すべく、モルドバ東部の親ロシア派支配地域、沿ドニエストルなどで兵士を募集している。これに絡み、ウクライナ軍参謀本部は11日、沿ドニエストルを「ウクライナが攻撃した」と批判するため、ロシア軍が挑発行為を行う可能性があると指摘した。

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