トップ国際欧州・ロシア【連載】侵攻4年 出口なきウクライナ戦争(1)露、7割超が「戦争支持」 政権は執拗なプロバガンダ

【連載】侵攻4年 出口なきウクライナ戦争(1)露、7割超が「戦争支持」 政権は執拗なプロバガンダ

1月9日、キーウで、ロシア軍の空爆後に火災が発生したウクライナの住宅(AFP時事)
1月9日、キーウで、ロシア軍の空爆後に火災が発生したウクライナの住宅(AFP時事)

 ロシア軍が2022年2月24日にウクライナへの侵攻を開始して4年。ウクライナ東部戦線は一進一退の攻防が続く。トランプ米大統領も昨年1月の就任後、停戦へ意欲を見せてきたが、依然として出口は見えない。戦争を巡る欧米露の現状を追った。

 ロシアの世論調査機関レバダ・センターはドイツのサハロフ財団の委託を受け、ウクライナ侵攻開始から4年を機にロシア人の意識調査を実施した。

 それによると、ロシア人の大多数(76%)は「依然として戦争を支持」。そのうち43%が「確実に」支持、33%が「かなり」支持だ。一方、18%はウクライナでのロシア軍の行動を「支持しない」と答えた。そのうち、7%は「絶対に支持しない」、9%は「むしろ支持しない」だった。

 ロシア軍のウクライナ戦争への支持は、男性(82%)、高齢者(55歳以上、81%)と高く、支持しないは女性(71%)、25歳未満の若者(62%)の間で高い。

 同時に、多くのロシア人は「プーチン大統領は完全に疲弊するまで戦争を続ける」とみている。また、「ロシアは多くの敵に囲まれ、被害国だ」と考えている。同センターのレフ・グドコフ所長によると、これは「プーチン政権下の執拗(しつよう)な反西側プロパガンダの結果だ」という。

 回答者のうち62%がポーランドとリトアニアを敵対国と見なし、英国(57%)、ドイツ(50%)、スウェーデン(40%)と続く。米国は競合国(53%)と見なされている。友好国としては、多くがベラルーシ、中国、カザフスタン、インド、北朝鮮を挙げた。

 ロシア人の米国に対するイメージは、過去数十年間に何度か変化してきた。ウクライナを支持してきたバイデン米大統領時代はロシア人の米国のイメージは良くなかったが、戦争の早期終結を約束したトランプ米大統領の就任により、改善してきた。ロシア人は戦争にうんざりしており、プーチン大統領が戦争を終わらせることはなく、それを変える術(すべ)もないことを明確に理解している。そこで和平交渉に乗り出してきたトランプ氏に期待が寄せられているという側面があるからだろう。

 「ウクライナ戦争に関心がある」は約45%で25年5月から14ポイント減。18%は「全く関心がない」。大多数は、「今こそ和平交渉を進める必要がある」と考えている(61%)。しかし、過去1カ月でその割合は5ポイント減少し、一方で戦闘行為を続ける必要があると考える人の割合は31%で、6ポイント増加した。また、ウクライナでの戦闘でロシアが勝利して終結すると考える国民は74%で、ウクライナの勝利で終わると考える人は1%未満だ。回答者の17%は、どちら側も勝てないと考えている。

 ロシアの著名な哲学者アレキサンドル・ジプコ氏は独週刊誌シュピーゲル(23年7月8日号)のインタビューで、「プーチン氏は生来、自己愛が強い」と述べる一方、「ロシア国民は強い指導者を願い、その独裁的な指導の下で生きることを願っている。ロシア人は自身で人生を選択しなければならない自由を最も恐れている」と述べた。

 プーチン氏は自由を享受する欧米社会を退廃した文化と軽蔑し、「自由を恐れる」国民を強権で統治し、ロシア民族の優位性を強調してきた。それに対し、反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏は国民の覚醒を願い、24年3月の大統領選では「プーチンのいないロシア」を呼び掛けた。しかし、ナワリヌイ氏は、民主化された祖国を見ることなく、24年2月16日、47歳でシベリア北極圏ヤマルの刑務所で亡くなった。

 ナワリヌイ氏はアカデミー長編ドキュメンタリー賞(23年3月)を受賞した映画「ナワリヌイ」の中で、もし亡くなるとしたらロシア国民に何をメッセージとして残したいかという質問に対し、「悪が勝つのは、善人が何もしないときだ。だから、諦めてはならない。強く雄々しくあってほしい」と述べている。

(ウィーン小川 敏)

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