トップ国際欧州・ロシアトランプ大統領はヨーロッパの安定脅かす悪か平和の使者か

トランプ大統領はヨーロッパの安定脅かす悪か平和の使者か

●トランプ大統領がウクライナに地下資源を要求

仏マクロン大統領は、予定外の三者会談を終えフランス・パリのエリゼ宮で出発するウクライナのゼレンスキー大統領(左)と次期米国大統領ドナルド・トランプ氏(当時)に別れを告げた(UPI) 2024年12月7日

アメリカのトランプ大統領は平和を求めておりウクライナの早期停戦をウクライナとロシアに要請する。そのためにトランプ大統領は和平交渉を進めるが、ウクライナに侵攻したプーチン大統領の批判を許さず、それどころか侵攻された側のウクライナのゼレンスキー大統領を批判した。

■トランプ米政権、ウクライナで「スターリンク」を遮断すると警告。希少鉱物資源の供与迫る
https://www.sankei.com/article/20250222-GIMSLZKCBRM5PK7MGRT2L5F3WA/

これでウクライナだけではなくヨーロッパ各国がトランプ大統領の発言を批判した。これでヨーロッパとアメリカの軋轢が生まれロシア有利の和平交渉になっている。さらにトランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領にアメリカによる軍事支援の見返りとしてウクライナの地下資源を要求する。

ゼレンスキー大統領はトランプ大統領の要求を断りトランプ大統領を怒らせた。これでトランプ大統領はロシア寄りの発言を繰り返し、ヨーロッパとの軋轢を更に大きくさせている。

●仲裁国への手数料と開戦の悪

国際社会には暗黙の了解があり、戦争の仲裁国には手数料を支払うことがマナーになっている。戦争の仲裁には時の強国が行うが、これは真に平和を求めるからではなく強国が欲しい物を手数料として得ることが目的。

日露戦争(1904-1905)で当時のアメリカが仲裁国になった。当時の日本人の多くが米による善意と思い込んだが、実際のアメリカはシベリア利権を日本から得ることが目的だった。しかも仲裁国への手数料は現金ではなく間接的に支払うこともマナー。このため当時のアメリカは民間人のハリマンを用いて南満州鉄道(満鉄)の買収計画を提案した。

アメリカから見れば民間人のハリマンを用いて間接的にアプローチした。これは国際世論対策とアメリカ政府の目的を誤魔化すことが目的。日本はロシア帝国から南満州鉄道(満鉄)を獲得したが日本の財政では運営が難しい。そこでアメリカ資本との共同経営を日本政府に持ちかけた。

当時の総理大臣桂太郎は賛同したが外務大臣小村寿太郎の反対によりハリマン構想は破棄された。これは小村寿太郎が国際社会のマナーを知らないことが原因だと推測する。これが原因でアメリカは仲裁国の手数料が得られないことで不満を持つようになる。

そしてこれ以後の日本は国際社会のマナーを知らないことが連続しアメリカだけではなくヨーロッパの白人世界まで怒らせた。行き着いた先はアメリカ主導のABCD包囲網であり、ハル・ノートを突き付けられ日本から開戦するように仕向けられた。

宣戦布告後の開戦は正々堂々とした開戦ではない。国際社会では軍隊を用いて先に開戦した国が悪の国と見なされる。何故なら軍隊を用いた開戦は今の平和を否定する行為なので悪の国と見なされる。これが国際社会のルール。

戦前の日本は宣戦布告後に開戦すれば正々堂々の開戦だと誤解していた。国際社会では宣戦布告は戦争の始まりを示すだけで先に開戦することを回避する。だから相手国を怒らせて先に開戦させる策を使う。戦前の日本は知らないからABCD包囲網とハル・ノートで怒り開戦した。戦後日本ではアメリカへの宣戦布告が間に合わないことで騙し討ちになったと言われるが、国際社会のマナーを知らないことを示している。

●ロシアとウクライナを国際社会のマナーから見ると

今のロシア・ウクライナ戦争を見るとロシアが先に開戦しウクライナに侵攻した。だから国際社会はロシアが平和を否定する悪の国と見なして批判した。だがトランプ大統領は戦争はウクライナが悪くロシアは悪くないことを公言したことで批判されたのは、これが原因になる。

■ウクライナ、鉱物基金の規模に反発-米国の軍事支援の見返り
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-23/SS3XUYT0AFB400

トランプ大統領はウクライナに軍事支援の見返りとして地下資源を求めたがゼレンスキー大統領は拒否した。これは仲裁国に手数料を支払うことがマナーだから、手数料を拒否したゼレンスキー大統領が間違っている。戦争は勝たねばならないから仲裁国を味方にすることも外交の一つ。この点でゼレンスキー大統領は国際社会のマナーを拒否しトランプ大統領を怒らせたことで停戦交渉をロシア有利にしている。

●今後の分かれ道

トランプ大統領がウクライナに厳しいのはバイデン政権の浪費を回収することが目的でウクライナに地下資源を要求している可能性がある。同時にトランプ大統領が中国との戦争に備えて戦費を集めている可能性もある。何故ならトランプ大統領は以前から中国を批判し続け太平洋付近の基地建設を中断させていない。

これらの基地は中国を意識していることが囁かれており、無駄であればトランプ大統領は建設中止しているはずだ。私の推測が正しい場合はウクライナのゼレンスキー大統領は八つ当たりの被害者である。

だがウクライナのゼレンスキー大統領はトランプ大統領から要求された条件を交渉で変えることは可能。実際にウクライナとアメリカの交渉は継続しているから、条件が合えばトランプ大統領はウクライナ有利な条件で停戦交渉を行うことになる。このためゼレンスキー大統領は短気を起こさず勝利を得るためにトランプ大統領に手数料を支払うべきだ。成功すればウクライナは勝利を得て平和が訪れる。戦争に勝利すれば地下資源の条件は後に変更できるからだ。

(この記事はオンライン版の寄稿であり、必ずしも本紙の論調と同じとは限りません)

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