【パリ安倍雅信】暗号化メッセージングアプリ、テレグラムの創設者で最高経営責任者(CEO)のパーベル・ドゥロフ容疑者(39)の逮捕が波紋を広げている。中でもドゥロフ氏にフランス国籍を与えた政府判断の背後にマクロン大統領の存在があったことや、マクロン氏自身、テレグラムの愛用者で複数回、非公開で会っていたことが明らかになっている。
ドゥロフ氏は24日、マクロン氏との夕食に招待されていたと言われている。仏大統領府は否定しているが、仏日刊紙ルモンドによれば、2人はこれまでも数回、非公開で会っていたとされる。マクロン氏は逮捕について「検察から知らされておらず、政治的背景はない」と強調した。
一方、ドゥロフ氏がフランス国籍を取得した経緯についてマクロン氏は8月29日、「傑出した仕事を通じてフランスの影響力と国際経済関係の繁栄に貢献するフランス語を話す外国人」として国籍を付与したことを認めた。マクロン氏は2017年の大統領就任当初、フランスを世界的ハイテク企業の拠点としたいと述べていた。ドゥロフ氏への国籍付与もその一環と思われる。
ドゥロフ氏は、6月24日に逮捕され、8月28日に保釈金500万ユーロ(約8億円)で、仏国外への出国禁止、週2回の警察署への出頭を条件に釈放された。
一方、ドゥロフ氏がプーチン政権による言論弾圧を嫌って、ロシアを出国したにもかかわらず、今もロシアとの関係を維持している疑惑も浮上している。フランス当局が指名手配中のテレグラム共同創設者で弟のニコライ氏は、サンクトペテルブルク在住で、名門ロシア科学アカデミーのステクロフ数学研究所に勤務していることが確認されている。