【パリ五輪】選手が「エゴイストに見えてくる」と投稿し炎上の上野千鶴子氏

パリ五輪、アーティスティックスイミング団体アメリカ代表=8月7日(UPI)
パリ五輪、アーティスティックスイミング団体アメリカ代表=8月7日(UPI)

国家=悪とする立場

パリ五輪が終盤に入り、国ごとのメダル争いも熾烈(しれつ)になってきた。1位は米国かそれとも中国か。日本オリンピック委員会(JOC)は日本選手団の目標として、金メダル20個を掲げているが、果たして達成できるのか、気になるところだ。

それはさておき、テレビ局の街頭インタビューでは、メダルを獲得しても逃しても日本人選手たちの頑張りに「勇気づけられた」と拍手を送る一般市民の姿をよく見掛ける。多くの国民の率直な思いだろう。

ところがである。X(旧ツイッター)に五輪報道は「うんざりする」と書き込んだだけでなく、アスリートが「エゴイストに見えてくる」と投稿して炎上した社会学者がいる。東大名誉教授の上野千鶴子だ。書き込みを切り取って批判するのはフェアじゃないので、まずは今月4日に投稿した全文を紹介する。

「マスメディアの報道はオリンピックばかり。うんざりする。アスリートに国家など背負ってほしくない。彼らがだんだんエゴイストに見えてくる」

この投稿の閲覧回数は7日現在、231万回に達している。ちなみに、NHKの朝ドラ「虎に翼」についての投稿(3日アップ)は、再生回数4万5千回。「エゴイスト」の炎上ぶりが分かろうというもの。

上野と言えば、マルクス主義フェミニストとして知られる。国家=悪と捉える立場からすれば、日本人アスリートが金メダルを獲得して、真ん中の一番高いポールに「日の丸」が掲げられ「君が代」を聞くだけで不愉快になるのだろう。観客席で振られる小旗も見たくないということか。

反発のリプライ多数

彼女の投稿には「日本が嫌い。がんばれ日本なんて聞きたくない。国歌も当然聞きたくない」と、多くはないが、同調するリプライもあった。否、左翼に限れば多いのかもしれない。それは個人の内心の問題だから、「それでも日本人か」と苦言を呈しても仕方がない。そんな人間は、五輪番組を見なければいいだけのこと。

だが、上野は最高学府の教授を務め、5年前には東京大学入学式で祝辞を述べた教育者だ。国家を背負って努力するアスリートに「エゴイストに見えてくる」はないだろう。だから、この投稿には「国を代表して行くわけやから『国家を背負う』のは当たり前。左派に『国家などと軽々しく口にしてほしくない』ね」「そのオリンピック選手と会う機会が、今後、もし、あったならば、その態度のまま接するのかな?」「君も世間の代表づらしない方が良いと思うよ」と、反発するリプライが多かった。

百歩譲って「アスリートに国家など背負ってほしくない」と思うのは勝手だが、国家の名誉を懸けてメダル獲得を目指して全力を尽くすことは非難されるべきことではない。また、すべての選手が国家のためだけで五輪に参加しているわけでもあるまい。五輪選手と国家との関係をことさら関連付けて見るのは、上野の独りよがりに思えてならない。だから、「あんたが『一番エゴイスト』だわ」というリプライもあった。

具体性ないコメント

妙なコメントは、X上だけではない。7月28日放送の「サンデーモーニング」(TBS)。柔道女子48キロ級で角田夏実が日本選手団の金メダル第1号に輝いたニュースに元五輪選手の谷亮子が「君が代聞けて、光栄でした」と率直な喜びを表した。

一方、番組の看板コーナー「風をよむ」で、毎日新聞社客員編集委員の元村有希子が次のように語った。「国家同士が競い合うというモデルが限界にきている。そこにはプロパガンダ、国威発揚が入り、政治家に利用される。根本的に見直し時期にきている」

国家の代表選手たちが4年に一度、メダルを争うことを「国家同士が競い合う」というのも妙な表現だし、根本的な見直しを主張するのであれば、具体的に何をどう見直せというのか。そこには一言も触れず、まったく具体性のない雲をつかむようなコメントだった。

(森田清策)

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