パリ・ノートルダム大聖堂前 宗教間会議を開催 バッハIOC会長 呼び掛け

【パリ安倍雅信】パリ五輪開催中のパリ・ノートルダム大聖堂前広場で4日、国際五輪委員会(IOC)のバッハ会長の呼び掛けで宗教間会議が開催された。同大聖堂は2019年4月に大火災に遭い、今年12月の完成に向け修復作業の最終段階に入っている。7月26日のパリ夏季五輪開催式では、キリスト教を嘲笑(ちょうしょう)するような演出があり、現在、世界のキリスト教関係者からの批判が続いている。

パリ夏季五輪開幕10日目、開会式の演出の一つが、ダヴィンチの「最後の晩餐(ばんさん)」を連想させ、登場した出演者がトランスジェンダーのドラッグクイーン(女装パフォーマー)だったことから、フランスのカトリック教会の司教協議会は「キリスト教を嘲笑し、愚弄(ぐろう)している」と非難し、世界中の宗教団体から厳しい批判の声が相次いでいる。演出した監督は「最後の晩餐」ではないと否定しているが、非難は鳴りやまない。

ノートルダム大聖堂前の広場でバッハ会長は、オリンピズムと宗教が共有する共通の平和プロジェクトを強調した。さらに「信仰とスポーツは補完的なものであり、私たちが同胞たちと平和に暮らすよう導く多くの共通の価値観を共有している」と述べた。パリ五輪選手村では、五つの宗教、160人の聖職者が常駐しており、アスリートの信仰は尊重されている。仏教、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教、ユダヤ教の代表者らは礼拝情報を共有している。

近代五輪の父、フランス人のピエール・クーベルタン男爵もカトリックのイエズス会の教育を受けており、五輪のモットーである「より速く、より高く、より強く」は、ドミニコ修道会士、アンリ・ディドンなどから得たインスピレーションによるものだ。パリで2度目に開催された1924年の五輪ではノートルダム大聖堂に異なる宗教指導者を集めた開幕の宗教儀式が行われた。

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