【連載】仏総選挙 躍進する右派・国民連合(下)エリート政治を嫌悪する国民

パリで開かれた国民連合(RN)の党大会に臨む ジョルダン・バルデラ氏(左)とルペン前党首= 2022年11月5日(AFP時事)

フランス総選挙で優勢が伝えられる右派・国民連合(RN)は、前身の国民戦線(FN)創設から52年がたつ。創設者、ジャンマリ・ルペン氏の娘、マリーヌ・ルペン氏は政策の重心を庶民に移したが、国家優先、移民との闘いは堅持している。今のRNの強敵はマクロン派より左派・新人民戦線だ。

RNのジョルダン・バルデラ党首(28)が24日に記者会見で発表した政策プログラムの一文に「フランス人のために社会扶助を維持」「仏国民を移民による沈没から守る」とあり、FN時代から変わらない最も普遍的な二つの要素を示した。この表明に「本質は変わっていない」「庶民の味方を装いながら、移民をやり玉に挙げる過激な極右思想の本質を覆い隠している」と反RN派は指摘する。

だが、移民問題は総選挙を控えた英国や他の欧州諸国でも最も重要な課題だ。特に右傾化する欧州連合(EU)内では無視できない政治課題だ。仏政治専門家の中には「RNは庶民に寄るあまり一貫性を欠いているが、強みは状況や世論の変化に適応する能力があることだ」と指摘する。例えばRNは、厳しい脱炭素政策に苦しむ農家や中小企業について「懲罰的エコロジー」として批判を繰り返している。

一方、EUやユーロ離脱によって主権を取り戻すという父親譲りの元来の主張は「EUへの影響力強化」に変わった。RNはもともとロシア寄りだったが、バルデラ氏はウクライナ紛争以降、支援の限度を前提に「ウクライナが前線を維持するのに必要な弾薬と装備の両方を自由に使えること」を支持している。

仏メディアはRNを長年批判し続けてきた。中でも今回の選挙戦で浮上した経済政策は「ばらまき」「財源の根拠なし」などと批判されている。批判を受けて、100品目に及ぶ生活必需品の付加価値税廃止、今年マクロン政権が成立させた年金改革の廃止などは優先政策から外した。

RN支持者は柔軟な経済政策について、地に足を着けた党に生まれ変わる若きバルデラ氏に期待している。フランス政治は2017年に大転換期を迎えた。それまで時計の振り子のように左右の既存大政党が入れ替わり政権を担い、結果、30年以上にわたり、10%を超える失業率や移民問題、治安問題を解決できなかった。(パリ安倍雅信)

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