【連載】仏総選挙 躍進する右派・国民連合(上) 政権党目指し政策転換 極右の悪いイメージ払拭

マクロン仏大統領=9日、北部ルトゥケ(AFP時事)
フランス国民議会(下院、定数577)選挙の第1回投票が30日に実施される。今月中旬の世論調査では、右派・国民連合(RN)に投票の意向を示したのは33%、左派・新民衆戦線(NFP)は28%。マクロン大統領派の現中道与党は3位の19%と劣勢が伝えられ、政権維持は困難との見方が強まっている。(パリ安倍雅信)

マクロン大統領は9日、欧州議会選でのRNの躍進を受けて解散・総選挙を決断した。ところが、支持率は低迷し、最新の調査ではわずか26%と、30%を割り込んでいる。そのため、2017年の大統領選当時のような圧倒的「マクロン効果」は、下院選では望めない。17年にマクロン氏が大統領に就任した時、夫妻の出身地、北西部アミアンでは、「アミアンの誇り」と歓迎ムードだったが、英BBCによると、市民の7割以上がRNに投票すると答えたという。

複数の仏メディアはRNの前身、国民戦線(FN)を創設したジャンマリ・ルペン氏とRNを率いる娘のマリーヌ・ルペン氏では、政策がまったく違うと報じている。父親のルペン氏は、反共、移民排斥、国粋主義を掲げる伝統的極右で「悪魔」のレッテルを貼られた。「(ナチス・ドイツがユダヤ人を虐殺した収容所)アウシュビッツは存在しない」と発言し、有罪判決も受けた。しかし、娘のルペン氏は、その路線を取っていない。

彼女が党首になった時、父親が従来の方針を変えなかったため、党から除名したくらいだ。父親との路線の違いは、明確だった。無論、そのためにネオナチ支持者や極端な民族主義者、国粋主義者は党を離れたが、政権を担える党を目指す目標を明確にした娘のルペン氏は、移民も含め、社会的弱者への手厚い保護や支援を約束する根本的政策転換を行った。

そもそも父親の時代からRNは民族主義政党ではなかった。FNの古参幹部のブルーノ・ゴルニッシュ元欧州議会議員の妻は日本人だ。移民排斥を掲げたのは、アラブ系移民に職を奪われた国民の不満を受け止めるためにすぎなかった。フランスではアラブ系移民が急増し、1980年代後半から職を失う国民が急増した。

娘がこだわった悪魔化脱却は、「極右」という言葉にへばりついた悪いイメージを取り除くためのものだった。

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