解散請求「国際問題化せよ」 家庭連合など日本の状況懸念 仏ボルドーで宗教シンポジウム

13 日 、 フ ラ ン ス 西 部 の ボ ル ド ー ・ モ ン テ ー ニ ュ 大 学 で 開 か れ た 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 「 2 0 2 4 C E S N U R カ ン フ ァ レ ン ス 」 第 8 セ ッ シ ョ ン

フランス西部ボルドーで開催中の少数派宗教を研究する国際シンポジウム「2024CESNURカンファレンス」で、宗教法人・世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)が解散命令を請求されている日本の事案に焦点が当てられた。2年前の安倍晋三元首相銃撃事件の衝撃からマスコミが教団批判のセンセーションを起こし、事件に無関係な教団信者すべての信教の自由を著しく制限する宗教法人解散を政府が企図したことに、「日本政府の家庭連合攻撃は民主主義世界で信教の自由が直面する深刻な危機」との認識が提起された。(宗教と政治取材班)

同シンポジウムは、欧州に拠点を置く「新宗教研究センター」(CESNUR)、ボルドー・モンテーニュ大学、「英語圏の文化と文学」(CLIMAS)、「新宗教研究国際協会」(ISSNR)の共催で、12~15日にわたり「マイノリティー宗教の社会貢献」をテーマに世界各地の少数派宗教の社会状況など23のセッションに分けて議論されている。

その中で13日、第8セッション「統一教会と日本・まさに起きていることは何か?」で日本の家庭連合を巡る問題が扱われ、会場のボルドー・モンテーニュ大学B200講義室はほぼ満席だった。民主主義が定着し先進国となった戦後憲法下の日本で、初めて刑法違反以外の要件によって政府が短期間のうちに多数派の力を背景に宗教法人解散を裁判所に請求した経緯は、他の数々のマイノリティー宗教とその信者らにも影響する可能性があり、研究者らが関心を寄せた。司会は英国の宗教学者、アイリン・バーカー女史が務めた。

導入としてCESNUR設立者の一人でイタリアの宗教学者、マッシモ・イントロヴィニエ氏が、「安倍氏暗殺後の危機」と題し、政府による家庭連合の解散命令請求に至った概要を紹介。信者である母親の高額献金で教団に恨みを抱いた山上徹也被告が起こした事件後、「(教団批判をするメディアで)背教者となった脱会者のパレードが始まった」と同氏は述べ、脱会者の発言は事実と違うこともあり一方的との認識を示した。同氏は他にエホバの証人への「虐待」批判にも触れながら、日本の少数派宗教を巡る状況に「楽観できない」と懸念。「進むべき道は問題を国際化して国際会議に持ち込むことであり、今日われわれがしていることがその貢献だと信じる」と訴えた。

セッションでは、日本の家庭連合に対する解散命令請求について信教の自由に対する危機を訴える教団関係者の声を聞く時間が持たれ、中山達樹弁護士、家庭連合日本本部法務局の近藤徳茂副局長、実姉が拉致監禁により強制改宗を迫られたウィーン在住のスズコ・ヒルシュマンさんらが証言した。

中山氏は、「なぜ日本の家庭連合は解散されるべきものではないのか」と題して発言。宗教法人法81条の解散要件は、法令に違反して「著しく」公共の福祉を害することが「明らか」に認められる行為と規定しており、厳格に解釈されるべきものだと述べた。これに家庭連合は該当せず、実際、過去の首相、政府、裁判所が解散対象にならないと否定してきたが、岸田文雄首相が一夜で「民法上の不法行為」が解散要件に該当し得るとして国会答弁を変更した経緯に触れた。その上で、家庭連合は①宗教法人に認証され7月で60年になるが、この間いかなる犯罪にも関係していない②献金返還の民事訴訟で敗訴したが③同訴訟には強制改宗された背教者が後ろに隠れている―と強調した。

近藤氏は、事件後のマスコミ報道が教団批判でエスカレートしたことにより教団施設や信者への脅迫や嫌がらせによる被害が発生したことを報告。また、自民党総裁の岸田首相が事件後の2022年8月31日に家庭連合との断絶を宣言したことについて、「家庭連合の信者のほとんどは一般企業で働いているので、自民党の国会議員が岸田首相の指示に従おうとするなら、接触する全ての人に関して思想信条を調査しなければならず、その結果、家庭連合の信者だと分かれば関係を断たなければならなくなるが、これは憲法違反だ」と批判した。

また近藤氏は、献金を巡る民事訴訟で敗訴した事例があることについて、①日本では背教者の証言は信頼できないという研究がない②日本では宗教に高額の献金をする習慣がない③日本人は一般に法律家を含め神を信じていないので、地獄で苦しむという話で脅されなければ高額献金をする人などいないはずだと裁判官は考える④日本では裁判官が“カルト”を助けたとメディアに批判されることを恐れる―などを挙げた。

宗教法人の解散は信者らすべてが礼拝など宗教活動の場を失うだけに、海外の国際会議でセッションが割かれたことは関心の高まりを示している。会場からは質疑応答で、いわゆる宗教2世問題、拉致監禁などに多く質問がなされた。

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