【パリ安倍雅信】第２次世界大戦でフランスのノルマンディー上陸作戦（Ｄデー）80周年の記念式典が開催された６日、同作戦に深い関係のある英国のスナク首相が、総選挙（７月４日投票）の選挙戦に専念するため欠席したことについて、英デイリー・テレグラフ紙とガーディアン紙は「最大の政治的誤り」と強く批判した。
保守系のガーディアン紙は、保守陣営はすでに「不利な状況にある」とした上で、「Ｄデー記念式典の重要な瞬間を欠席するという選択」をしたスナク氏に対して与党・保守党党員らは「激怒」していると強調した。スナク氏は上陸作戦に参加した英兵の犠牲者を追悼する式典で演説したものの、オマハビーチで行われたメーン式典を欠席した。
特に、オマハビーチでマクロン仏大統領、バイデン米大統領、ショルツ独首相が並ぶ席にキャメロン英外相が写真に納まったことについて英紙は「この写真が撮影された時、英首相は選挙戦についてテレビインタビューを受けるために英国に戻っていた」と指摘。デイリー・ミラー紙は１面で８日、「終わった」と痛烈に批判した。
さらに「党の希望の終焉（しゅうえん）を意味する」とする保守党議員と、スナク氏を「国家を裏切った」と非難する退役軍人の言葉を掲載した。
スナク氏はインド系なだけに、保守党支持者らは言外にスナク氏の英国へ愛国心に疑問を呈したのではないかとみられている。
