【パリ安倍雅信】欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は23日、EU域内の機密性の高い技術研究を盗むスパイからEUを守るため、EU情報機関と大学が緊密に連携する仕組みを構築する方針を打ち出した。欧州委員会のイリアナ・イワノバ委員(イノベーション・研究担当)が明らかにした。
イワノバ氏は「中国に対して、これ以上甘い考えでいる余裕はない」と述べた。EU加盟各国政府は、半導体、量子、バイオテクノロジー、人工知能(AI)といった機密技術に関する欧州域内の研究を保護したい考えを共有している。当局者は、機密および非機密の定義の定期的なブリーフィングを実施し、大学が外国のスパイ活動に対抗できるよう「連絡官」を任命したいと述べている。
4月29日、ドイツ連邦検察庁は、中国の情報機関のために軍民両用技術に関する情報を入手した疑いのあるスパイ容疑者3人を逮捕したと発表した。容疑者らはドイツの複数の大学と接触しており、そのうちの1校と契約を結んでいた。スパイ行為が確認された同国のケムニッツ工科大学は、 2022年7月~23年3月まで、容疑者の会社と協力したことを確認、他の二つの大学も中国企業との協議を認めた。
近年、欧州の大学での中国人学生や研究者の存在、あるいは欧州の大学と中国の研究機関や企業との協力関係に対する懸念が高まっている。