【パリ安倍雅信】欧州議会は10日、欧州連合(EU)の亡命・移民協定を強化する大規模な改革を採択した。2年後の26年に発効する。背景には不法移民の急増が止まらない現実があり、亡命手続きを迅速化し、正規には認められない移民の母国への送還を迅速に行うことを目指す。
提案された新規則の下でEU加盟27カ国は、難民申請者に対する責任を共有することが求められる。不法移民が集中して流入するイタリア、ギリシャ、スペインの受け入れの公正さを保つために、追加の資金や資源を提供する必要があるとしている。
難民申請は最長12週間以内に対処することも目的としている。 拒否された場合、12週間以内に母国に強制送還される。移民申請者は、7日以内に身分証明書や健康・安全検査など厳格な入国前検査を受け、「受け入れの可能性が低い」亡命申請については、申請者のEU域内への入国を認めず、迅速に本国送還の手続きに入る。
多くの人道支援NGOや国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、「拘束の常態化と国境での手続きの迅速化」の両方に懸念を示している。短時間の審査で、本来亡命を認められるべき移民を本国に送還するリスクは高まると警告した。
昨年は不法にEUの国境を越えた人々は、16年以来最多の約38万人となり、西アフリカからEUへの不法移民は今年1月、前年比10倍以上に増加した。