【パリ安倍雅信】北大西洋条約機構(NATO)は4日、創設75周年の記念式典をブリュッセル本部で行った。同式典に合わせ、3~4日にかけて開催されたNATO外相会合では、5年間で1000億ユーロ(約16兆4000億円)規模の対ウクライナ支援基金設立と、米国主導のウクライナ防衛連絡グループ(UDCG=NATO加盟32カ国+その他24カ国)をNATOに移管することが議題となった。
ストルテンベルグNATO事務総長は記念日の演説の中で「NATOはかつてないほど大きく、より強く、より団結している」と述べた。スウェーデンを加え32加盟国となったNATOは10億人規模の同盟へと成長した。
NATOは、米国内の政治状況にウクライナ支援が大きく左右されている現状を回避するため、米国依存から武器供与などで独自の意思決定の新たな枠組み作りに舵(かじ)を切ろうとしている。UDCGについては、西側同盟国の国内の政治的状況に左右されないよう組織の強化を急ぐ方向を示した。
ただ、UDCGが完全にNATO傘下に入ることには、米国が警戒感を示している。NATOの欧州メンバーは、今年11月の米大統領選挙でトランプ前大統領が再選された場合、ウクライナ支援を制限することを懸念している。