【パリ安倍雅信】米国によるウクライナ追加支援が、議会の反対で滞る中、北大西洋条約機構(NATO)は3日、独自の1000億ユーロ(約16兆3300億円)規模の対ウクライナ支援基金設立の検討に入ったことが明らかになった。念頭にはウクライナ支援の縮小を主張するトランプ前米大統領が今年11月の大統領選で再選された場合への懸念がある。
NATOは3、4の両日、ブリュッセルで開催する外相会合で、5年間で1000億ユーロ規模の独自の基金について話し合い、7月の米ワシントンでの首脳会議までの合意を目指すとしている。
ストルテンベルグ事務総長は、トランプ前大統領の再選による「政治的な変化の風」からウクライナ支援の枠組みを守るとしており、11月の米大統領選でトランプ前大統領が再選された場合に備えた措置であることを明確にした。
一方、会合では米国とNATO当局者らが、ウクライナ支援を調整する「ウクライナ防衛連絡グループ」を段階的に米国主導からNATOの管理下に移すことなども議論される。7月の首脳会議で最終決定することを目指すという。トランプ氏再選でも、現状のウクライナへの武器供与の流れを維持するための措置だ。
トランプ氏再選を欧州が懸念する中、ウクライナ防衛連絡グループのNATOへの移管は、当面のウクライナ侵攻に対する西側の支持を継続する重要な動きとなる可能性が高い。