【パリ安倍雅信】フランスで21日、移民法反対派の大規模抗議デモが全土で行われ、内務省の発表によると約160カ所で約7万5000人(組合発表で15万人)が参加した。物議を醸した同法の憲法評議会による決定の4日前に開催されたデモでは、同法の完全撤回を求める仏社会党、環境保護団体など左派指導者らも街頭に繰り出した。就任間もない34歳のアタル首相にとって、大規模デモは最初の試練となった。
デモを主催したウェブサイトによれば、全国164カ所で集会を開催。主催者らは「わが国の歴史における危険な転換点」と非難し、「憲法で宣言されている基本的権利と同様、労働、教育、社会の権利を攻撃するものだ」と新法を非難した。201人の芸術家、研究者、文化人などの著名人が反対に署名した新移民法は移民排除の右派の主張が反映されたものだ。
一方、肥料やエネルギーなど農業コストが上昇しているにもかかわらず、小売価格が据え置かれているため利益が得られない問題に、政府が正面から取り組んでいないという不満から農業従事者の抗議デモも先週から続いている。農業従事者は全国の幹線道路を封鎖し、輸送ルートがトラクターなどによってブロックされた。
仏メディアは、2018年に始まった黄色いベスト運動になぞらえ、緑のベスト運動と名付けている。アタル新首相は今週に農業組合関係者らとの会合を持ち、適切な措置を迅速に取ると約束しているが、政府は抗議運動が長期化することを懸念している。